KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)で電子書籍を出版することは、以前とちがい、ずいぶんと取り組みやすくなっています。
以前は、電子書籍出版に取り組もうとする人にとって、頭を悩ませる大きなハードルが存在しました。
その大きなハードルというのは・・・税金がらみの手続きです。
でも、今は『日本市場(amazon.co.jp)向け』という条件付きですが、その大きなハードルがなくなりました。
電子書籍の出版を始めるなら、”今”です。
電子書籍の出版を日本市場向けだけに絞れば、ラクできる!
税金がらみの手続きは、『日本市場向け』という条件付きで、省略することができるようになりました。
日本市場向けというのは、『amazon.co.jp』だけで、電子書籍を出版するということです。
(もちろん、全世界向けに出版することも可能です。)
ただ、以前まで必須となっていた税金に関する手続きを知っておても決して損にはなりませんし、手続きをしておいても損はありません。
たとえば、外国語の能力を必要としない写真集を出版する場合では、日本市場に限定せずに出版した方が良いという判断もあります。
また、外国に在住の日本人向けに電子書籍を出版するという考え方もあります。
あとは、そこまで手を広げることが良いかどうか、その必要があるのかどうか、あなたの判断次第です。
電子書籍出版で二重で搾取される税金とは?
繰り返し言っておきますが、今日説明する手続きは「日本市場(amazon.co.jp)向け」という条件付きで省略が可能です。
以前は、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)の指示により、Amazonは30%の源泉所得税を自動的に(ロイヤリティから)差し引いていました。
たとえば、ロイヤリティ率35%だとすると・・・
KDPにおける電子書籍の売上が10万円だとすると、、、
- ロイヤリティ35000円(Amazonの取り分65000円)
- アメリカの源泉所得税(30%)は、10500円(=35000×30%)
- 税引き後のロイヤリティは、24500円
源泉所得税30%(上記の場合、10500円)は、かなり大きな金額ですよね。
しかも、日本国内に住んでいる場合は、当然のことながら日本の所得税も課されます。
つまり、日本・アメリカの二か国において、所得税を課されるということです。
『租税条約』という名の救済措置とは?
でも、この二か国(日本・アメリカ)で課税されるという事態には、救済措置があります。
それが『所得税に関する租税条約』です。
この租税条約は、二重課税を回避するために、国同士で結ばれている条約です。
日本とアメリカの二国間で結ばれている租税条約では手続きをすることで、通常、源泉所得税30%が課されるものが、0%に税負担が軽減されます。(所得の種類によって異なります。)
30%が0%になるなら(上記の例でいうと、ロイヤリティは24500円ではなく、35000円のままということです)、手続きをしたほうが、断然お得です。
そうなると、みんなが手続きをしそうなものですが、実はここで大きなハードルが現れます。
その大きなハードルとは、手続きをするために準備する書面が、全文英語だということです。
アメリカの内国歳入庁(IRS)に対しておこなう手続きなので、当然と言えば当然なのですが。
ただ、そうなると、KDPを利用した電子書籍の出版を考えている人たちは選択を迫られていたわけです。
KDPを利用して電子書籍を出版することを諦めるか、それとも、二か国で課税されることを仕方なく受け入れるか。
今はこの手続きが条件付き(日本市場だけの出版)ですが、省略可能になったわけですから、電子書籍を出版しやすくなったことは一目瞭然です。
EIN(雇用者識別番号)を取得する
では、実際にどんな手続きをするのか(手続きをしていたのか)を見ていきましょう。
まず、手続きの大きな流れは、次の通り(1~4)です。
- 内国歳入庁(IRS)にフォームSS-4を提出して、EIN(雇用者識別番号)を取得する。
↓ - KDPアカウント登録で『税に関する情報』を入力する。(フォームW-8BENが自動入力される)
↓ - KDPのサイトからフォームW-8BENを直接送信(または郵送)でアメリカのAmazonに提出する。
↓ - アメリカのAmazonにおける手続きが完了すると、源泉所得税0%が適用される。
IRSに提出するフォームSS-4を完成させる
アメリカのTIN(納税者番号)には、複数の種類が存在します。
日本に住んでいる個人(個人事業主)が、KDPを利用して電子書籍を出版する場合は、TINのひとつであるEIN(雇用者識別番号)を取得することになります。
※KDPアカウントを個人名で登録した場合、専業か副業かにかかわらず、個人事業主の区分になります。
EINは内国歳入庁に『フォームSS-4』を提出することで取得することができます。
Form SS-4は ここ をクリックしてください。
- 上記の『ここ』にカーソルを合わせて右クリック
⇒「名前を付けてリンク先を保存」を選択
⇒ 任意のフォルダーに一旦保存(Windowsの場合) - Form SS-4は、Adobe Readerで直接入力することも可能です。
手書きをすることが必須の項目(署名欄)以外は、パソコンでの入力が可能です。 - KDPヘルプの
≪記入例≫
※KDPヘルプ
赤枠で囲った項目を入力(もしくは記入)してください。
「1」:氏名・・・あなたの名前を「名」「姓」の順で書く。(ローマ字)
「2」:ビジネス上の氏名・・・「1」と異なるビジネス上の氏名を利用している場合に入力。
「3」:空欄でOK
「4a」:住所・・・郵送先住所(番地、通り、アパート名、部屋番号、私書箱など)
「4b」:住所・・・市町村区、都道府県、郵便番号
「5」:所在地・・・郵送先が「4」だけなら、空欄でOK
「6」:国名・・・Japan と入力。
「7a」:責任者・担当者の氏名・・・個人の場合は「1」と同じ。
「7b」:空欄でOK(SSN・ITIN・EINをもっていなければ空欄)
「8a」:LLC(有限責任会社)の申請か・・・「No」にチェック。
「8b」:空欄でOK
「8c」:空欄でOK
「9a」:法人の種類・・・一番上「Sole proprietor」にチェック。
「9b」:空欄でOK
「10」:申請理由・・・「Compliance with IRS withholding regulations」と「Other(specify)」にチェック。「Other(specify)」右の空欄に「To obtain a reduction of withholding imposed by section 1441 pursuant to an income tax treaty.」と入力。
※英文の意味は「所得税に関する租税条約に基づいて、セクション1441で課せられた源泉徴収税を軽減するため。 」
「11」~「17」:空欄でOK
「18」: 「1」に入力した申請者は今までにEINの申請・取得をしたことがあるか・・・「No」にチェック。※取得したことがある場合は「Yes」にチェックし、空欄に記載する。
Signature:署名・・・手書きで署名する。
Date:署名日・・・署名した日を「月/日/西暦(4桁)」で入力。
※署名欄の右側にある「Applicant’s telephone number」「Applicant’s fax number」には、電話番号とFAX番号をエリアコードを付けて記入する。
例:「03-1234-5678」の場合、「(+81)3-1234-5678」と記入する。(入力文字数の関係で入力できないので、手書き。)EINが「Applicant’s fax number」宛に返信される場合もあるので、間違えないように注意。空欄でもOK。
IRSにフォームSS-4を提出する
入力済(記入済)の『フォームSS-4』を、IRS(米国内国歳入庁)に提出します。
FAXで送った場合、返信に約1週間。郵送の場合は、返信に約1か月程度の時間がかかります(あくまでも目安です)。
送付(送信)先は、以下を参考にしてください。
※KDPヘルプ【
米国外に居住する海外からの申請者は、電話、ファックス、または郵送で EIN を申請できます。
- 電話。月曜日から金曜日まで IRS に電話 +1 (267) 941-1099 (通話料金がかかります) でご連絡ください。これは最も簡単な方法で、EIN をすぐに取得できます。
- ファックス。米国に主たる事業やオフィスを置いていない場合は、記入した Form SS-4 を IRS にファックス (+1 (859) 669-5987) で送信し、申請書にファックス番号を書き添えます。通常、EIN が記載されたファックスが 4 日以内に届きます。
- 郵送。申請を郵送で行うと、手続きが完了するまでに約 4 週間かかります。申請を郵送で行うのが最も適している場合は、以下の住所に Form SS-4 を郵送します。
Internal Revenue Service
Attn: EIN International Operation
Philadelphia, PA 19255EIN を取得したら、KDP のオンラインの税に関するインタビュー フォームに EIN を入力して Amazon に送信します。EIN の申請の仕方の詳細については、IRS Web サイトをご覧ください。
以下のガイドラインは IRS の説明を補足するものです。Form の書き方を説明する資料として代用することはできません。
詳しい説明が必要な場合は、税務の専門家にご相談ください。
ここまでの作業(手続きにかかる労力と時間)を省略できるなら、、、
EINを無事取得することができたら、KDPアカウントの未完了になっている【税に関する情報を登録する】をクリックし、『税に関するインタビュー』を登録します。
いかがでしょうか・・・?
実に大変な手間ですよね。
時間もかかるし、労力もかかる・・・
条件付きですが、今はこの手続きを省略することができるようになりました。
ところが、電子書籍の出版、特にKDPにおける電子書籍の出版に関する情報にアンテナを張っていなければ、この事実を知ることはできません。
実際、この情報を知らない人は多いと思います。
この手続きが必須だった頃に、KDPでの電子書籍出版に取り組み、断念した人もこの事実を知りませんし、古い情報にアクセスしているライバルもこの情報を知りません。
だからこそ、電子書籍の活用は ”今” なのです。
※源泉所得税についての詳しい話は、税理士などの専門家もしくは専門サイトなどで直接ご確認ください。